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「あの人は元気づけてなんかもらう必要はありませんよ」と、Kはいった。「弟さんを元気づけるということは、あの人のいうことは正しいのだ、ただ今までのやりかたを貫いて前進していくべきだ、とあの人にいうようなものです。だが、まさにこのやりかたでは弟さんはけっして何かをなしとげることはできないでしょう。両眼に繃帯した人に向って、繃帯を通して眼をじっとこらすようにといくら元気づけたところで、その人はけっして何かを見ることはできませんからね。繃帯を取り除いてはじめてその人はものを見ることができるんです。バルナバスに必要なのは助力であって、元気づけることじゃないんです。まあ考えてもごらんなさい。あの上の城にはからみ合って解きほどすことのできない大きな役所があります。――私はここへくるまでは、その役所について大体の観念をもっていると思っていたんですが、そんなものはみんな、なんて子供らしいことだったんでしょう――つまりあそこには役所があって、バルナバスはそれへ向って歩んでいくのです。そのほかにはだれもいず、あの人だけで、かわいそうなくらいひとりぽっちです。もし一生のあいだ姿を消して、事務局の暗い片隅にうずくまりつづけるというようなことにならなければ、それだけでもあの人の身に余る名誉なんですよ」 ディスク クリーニング http://ikihaji.page.tl/