嚥み込んだ食べものを口に出して反芻する見苦しい男の癖に、反射心理といふのか、私のご飯の食べ方がきたないことを指摘し、口が大きいとか、行儀が悪いとか、さんざ品性や容貌の劣悪なことを面と向つて罵つた。私は悲しさに育ちのいゝ他の二人の、何処か作法の高尚な趣、優雅な言葉遣ひや仕草やの真似をして物笑ひを招いた。私の祖父は殆ど日曜日毎に孫の私に会ひに来た。白い股引に藁草履を穿いた田子そのまゝの恰好して家でこさへた柏餅を提げて。私は柏餅を室のものに分配したが、皆は半分食べて窓から投げた。私は祖父を来させないやうに家に書き送ると、今度は父が来出した。父の風采身なりも祖父と大差なかつたから、私は父の来る日は、入学式の前晩泊つた街道筋の宿屋の軒先に朝から立ちつくして、そこで父を掴まへた。祖父と同様寄宿舎に来させまいする魂胆を感附いた父は、「俺でも悪いといふのか、われも俺の子ぢやないか、親を恥づかしう思ふか、罰当りめ!」と唇をひん曲げて呶鳴りつけた。とも角、何は措いても私は室長に馬鹿にされるのが辛かつた。どうかして、迚も人間業では出来ないことをしても、取り入つて可愛がられたかつた。 高級デリヘル 六本木