この法王宮殿の山の前を東南に抜けて広い道を七町参りますと長さ二十間幅三間程の橋があって、橋の上にはシナ風の屋根がある。その下を過ぎて一町余り行くとラサ府の西の入口の門に着きました。その門はちょっとシナ風に建てられて居る。それから中へ進んで行って左の広い道に沿うて二町余り行きますと、大きな広庭のある所に着いた。ここまでは馬に乗って来たのですが、さてここにチベットで最も聖とせられ最も崇拝せられるところの釈迦牟尼仏の大堂がある。 ここに安置してある釈迦牟尼仏の由来を聞くに、始めて仏教をこの国に入れられたソンツァン・ガムボという大王が、まだ仏教を信じない時分にシナから唐の太宗の皇女なる文成公主を娶ることになったその時分に、文成公主はその父の太宗に願うて言いますには、チベットは人を殺して喰うという国と聞きますから、かの国がその国に仏法を弘めるという約束をして貰いたい、また一つには、インドから当国に移って居られたる釈迦牟尼仏の像を御供して行きたいと。この約束が成り立ちまして、それで文成公主が一緒にこの国へこの釈迦牟尼仏をお護申して参ったので、それ以来、このラサ府に安置されて居るのでございます。保健師 求人